不登校ということ

“不登校” この言葉が持つなんだかネガティブでくらーいイメージ。不登校の子は、他の大多数の子が出来ることができない、ダメな子。勉強する意欲もない。部屋に引きこもってゲームやネット中毒で朝晩逆転している。こんな感じだよね。

ハスちゃんは今”不登校”、学校に行かないで、行ける日はフリースクールへ、という生活を選択している。朝7時に起床、朝日を浴びる為に服を着替えたら30分散歩へ出かける。帰ってきたら朝食してお弁当のおかずの準備。そして8時40分からはオンラインで学校の授業を受講する。体育や道徳、総合などオンライン受講しない教科の間にフリースクールへ移動。夕方は洗濯を入れ、お風呂を洗い、9時半には就寝。こんな感じの生活で、思いっきり健全。物理的に学校へ体が行っていないだけで、規則正しい生活を送り、誰に監視されるでもないのに、学んでいる。

学校に行って、心無いクラスメートに嫌な事言われたり、自分に言われたわけじゃないけど、クラスメートが発する不快な言葉にストレスを感じたり、先生は指示強制するし、そんなネガティブな出来事が無いので、ハスちゃんにとってはいい選択ができた、と思った。そしてこの2週間くらい、あまりフリースクールへ行かなくなっていた。

1時間目からぎっしりオンラインで授業を受けたい場合、フリースクールへ移動する時間が取れない。そんな日が続いていた。部屋で一人でオンラインで学ぶ日々。フリースクールへ行っても、周りの子はみんな一日中ゲームをしてたりして、あまり会話をする機会もなく、そんなに楽しくはないと聞いていたし、まぁ、いける時、いきたい時だけ利用すればいいね、と思っていた。

つい数日前、お風呂に入ろうと思ったら2階のハスちゃんの部屋から、話し声が聞こえた。ガラケーを持っていて、一人だけ同級生の連絡先を登録している。その子と話してるのかな、めずらしいな、でもいいね、同世代のお友達と楽しそうに話すのってやっぱいいね、と思って。ハスちゃんの携帯のプラン、通話10分まで無料、それ以上はとっても高い通信料がかかるので、ハスちゃんに「通話は10分までよ」と小声で話しかけると、ぴたっと話し声が止まって。

ハスちゃん、携帯で話してはなかった。一人でしゃべっていた。あんな大きな声で?なんだか楽しそうだったけど。もしかしたら、空想の世界に浸ってたのかもしれない。混乱した私との会話の中でハスちゃんは「さみしかったから」と言った。さみしいよね、そうだよね、とその言葉が私の頭の中をこだまする。

お風呂に入って、少し落ち着いて。ずっと一人で家でオンライン授業を受ける日々を送るハスちゃんのことを考えると、そりゃさみしいよな、と。今の状況を少し変えたいな、と思って。自宅以外の場所に行き、スタッフやその場にいる子に挨拶をし、フリースクールでオンライン授業を受けることは、ハスちゃんにとって重要なのでは?と思った。いくら周りの子がゲーム漬けで会話が出来なくても、 多少の挨拶はするし、家族以外の人に家の外で会う、ということはハスちゃんが自分は社会の一員だと認識する為には重要なことなんじゃないか、と思って。

フリースクールがただの居場所で、ワクワク学べる場所じゃない、行くのに片道30分かかるし、行く時間がない日もある、なんて色々思っていたけど、そんなんじゃない。家以外にハスちゃんがいれる場所がある、ということはとても大切なことなんだ、私以外の大人と接することも重要だ、と思った。

お風呂から上がって、ハスちゃんに、独り言いう事はおかしいことじゃない。どんどん言えばいいよ。ただ、来週からはできるだけフリースクールへは行くことにしよう!と話した。ハスちゃんも納得していた。

不登校、深い。