何が起こるかわからない

奄美から広島へ引っ越し、のどかな場所に一軒家を借りて暮らしている。その家のお隣の家は、高齢者2人住まいで、今は町に住んでいる家主さんから、この家の旦那さんは病気されてねぇ、と聞いていた。

引っ越しの挨拶に奄美土産を持っていくと、やさしそうなおばさんが出てきた。会うたびに挨拶をしたり、おばさんが車で出かける様子をよく拝見していた。そして毎日近所をウォーキングする旦那様も拝見していた。病気をした影響か、両手に杖を持ち、視線は常に足元、一歩一歩、ゆっくり確実に歩く、と言う感じで、目にするたびに、おじさん頑張れ!と応援してしまうような光景だった。

この家に引っ越して3か月くらい経ったころ、おばさんを見かけなくなった。ずっと車もない。近所の方に尋ねてみると、おばさんは入院された様だ。それから1か月、2か月くらいして、おばさんは退院されたようで、家の縁側の椅子に座っているのを見かけた。もう車を運転されない様だし、外に出る姿も見ない。

ある日、おじさんとおばさんがお2人でウォーキングされているのを見かけた。いつもはおじさんお1人なのに、その日はおばさんも一緒だった。おばさんもおじさんと同様両手に杖を持っていた。おじさんが一歩一歩確実にゆっくりでも進んでいるのに比べ、おばさんは、力なく、ふらふらされていて、おじさんがゆっくり歩いていくのにも全然ついてゆけない。これがおばさんが外にいる姿をみた最後の日だった。

引っ越し当初は、元気なおばさんと、病気をした体が不自由なおじさん、だったのに、今では、おじさんの方がだんぜん元気に見える。今日もゴミ出しの際に、ウォーキング中のおじさんに挨拶した。

いつ何が起こるかわからないね、人生は。体が資本だから、健康には気を付けたいなと思うこの頃。