久しぶりにブログを書く。本当に久しぶり。命の危険を感じたからなのか、なんだか圧倒的な自然のパワーを感じ、人間って弱い生き物なのだなぁと感じたからなのか。せっかく生きてるんだから、経験したことを書いておきたいと思った。
史上最大の勢力である台風10号が奄美に直撃すると予測され、台風が最接近するまで数日間の島内の緊張感、そして過ぎ去った後のこの晴天、美しい海を見ていると、「台風きたの夢だった?」という不思議な感覚に陥る。台本がある映画、リアリティーショーに出演したような気分。
奄美に移住して2年半、台風は何度も経験しているけど、今回の緊張感は今までにないもので、集落の長老から「今まで生きてる中で、一番大きい台風がくる」と注意喚起を受けたほど。台風が来るたびに大体停電はするから、停電くらいは想定内。断水も想定内。2年前の台風の時はドコモのアンテナが倒れて数日携帯も使えなくなった。それも想定内。
今回の台風が直撃したら、木造の古い家は全部吹っ飛ばされて全壊するだろうと、島民は怯えました。確かに集落内、半分以上が木造の古い家。2年前の台風よりも大きいのが直撃するから、倒壊間違いなしという予測で、多くの方が公民館やホテルに避難していました。
奄美住民は台風対策には慣れていて、やるべきことはわかっている。瓦屋根はなく、雨戸がついている家が多くて、台風向けの家になっている。対策を講じたらあとは祈るしかない。自然の驚異と美しさをこんなにも強烈に感じられる場所が奄美。今回は、命は守れても家の倒壊をイメージした人は多かったはず。
5日の夜、家で寝ることを選んだけど一応避難準備もした。 ライフジャケットを枕元に置いて寝た。 「こんなのいる?」とカメちゃんに言われたけど、備えよ常に!と唱えながら。最悪を想定して。ハスちゃんカメちゃんと川の字になって寝る毎日。何が起こってもハスちゃんカメちゃんと共にいられるなら幸せだと思いながら寝た。
強い雨は降っているけど、風はそこまで強くない。朝起きたら停電していると思っていたから、扇風機が回っていてまずびっくり。台風の最接近は6日の正午くらいだったから、まだまだこれからだとは思った。ネットでチェックしたら、勢力が弱まり、進路が東にずれて台風の目の直撃は免れたらしいとわかった。
直前に来た台風9号のおかげで、海水温が下がり、10号が発達できなかったらしい。結果、大きな被害を出さない台風だった。
台風で家が倒壊するかもしれない、避難しなければならない、となったら、持っていけるものは限られている。物を持つ、ということも考えさせられる。台風が過ぎ去った後の被害場所を見るときも自然の驚異を感じるし、きらきらの何事もなかったように輝く海と星空を見ても自然への畏怖を感じる。
自然には勝てない。もっと自然を大切にしたい。温暖化で災害が増えていくだろうと予測できても、今までの生活を手放すことができない人間たち。まだ次の台風は来る。それまで、もう少しいろいろ感じよう。